人気のサイクルスポーツ。サイクルロードレースなどをはじめとする競技スポーツから、ゆっくり景色や食べものを楽しむサイクリングまで様々あります。そんなサイクルスポーツの魅力を、プロフェッショナルコーチの青山剛氏の視点で毎月発信していきます。


Vol.5「あなたのサドルの高さ、合っていますか?!」

ビアンキアンバサダーの青山剛です。

今年から始まったこのコラムでは、サイクルスポーツの魅力や運動効果、そしてその正しい方法などをプロフェッショナルコーチの視点で紹介しています。今回は私が少し気になっていることについてです。


■サドルの高さ、合っていますか?!

私のホームコースの江戸川サイクリングロードを走っていると、多くのロードバイクの方とすれ違ったり、追い抜いたり、追い抜かれたりします。コーチとしての仕事柄、その皆さんのフォームや回転数などをジーっと見てしまいますが、中にはあまり宜しくない状態で乗っている方がいます。

その中でも「サドルの高さ」がどう見ても合っていない方がいます。明らかに低過ぎたり、高過ぎたり。数年乗っていて乗り慣れている方は自分で調整をしていると思うのですが、初心者の方や教えてもらっていないまま乗った方は、おそらく自転車購入時に自転車屋さんが「なんとなく」決めた高さ、もしくはご自身で「なんとなく」決めた高さのままで乗っていると思われます。そこで今回は私が日ごろ指導しているロードバイクのサドルの高さの決め方について、書いてみようと思います。


■低すぎても高すぎてもダメ!

もちろんサドルの高さ以外にもクリート(足の裏のペダルとくっつく金具)の位置、サドルからハンドルまでの距離、ハンドルの高さ、などなど大切なポジショニング設定もありますが、まずはサドルの高さがおかしいと他も決まりません。

簡単なイメージとして、サドルが低いと回転が上げられやすく、高いと重たいギアを踏みやすい、こんな感じです。逆に言えば低いと重たいギアが踏みづらく、高いと回転が上がりづらいのです。そこで意識して欲しいのは、平地(無風)で「1分間に90回転」を維持できるサドルの高さかどうかということです。


■まず今の高さと股下を測ろう!

写真 1

まずは現在のサドルの高さをトップ写真のように測ります。写真1のように下はボトムブラケットと言って、クランクの中心、上はサドルの上部の平らな所までの長さです。そして次に股下を測ります。

*写真 2

写真2のようにシューズを履かずに足をクランクの幅に開き、股下に固い本や箱をギューッと押し付けます。そして写真3のように後ろの壁側に印をつけ、写真4のように地面からの長さを測ります。



*写真 3
*写真4

■今のサドルの高さはこの幅に入っていますか?!計測した股下の長さに下記数字を掛け算してみましょう。

A・股下×0.86

B・股下×0.87

C・股下×0.88

D・股下×0.885      

まず4つの値を書き出します。おそらくAからDの幅は2cmくらいです。現在のサドルの高さがこの幅に入っていなければ、低過ぎか高過ぎだと思ってください。成人で身長の伸びがもうない場合、生涯この幅の中のサドルの高さで乗ることになると言ってもいいと思います。


■今の自分にあったサドルの高さにしましょう!

*写真 5

ではこの4つの中で自分はどれにすれば良いのでしょうか?この幅の中には収めて欲しいのですが「絶対ここ!」とは言えません。プロの自転車選手でも、コースや体調によって日々ミリ単位で高さを調整する選手もいるくらいです。私が推奨するのは下記のイメージです。

A・運動&ロードバイク初心者

B・運動(ランニングなど)は結構しているが、ロードバイクは初心者から中級者

C・ロードバイク中級者から上級者

D・ロードバイク上級者

という感じで、簡単に言えば“乗り慣れてくるとこの幅の範囲で高くなっていく”こんなイメージです。もちろん高くしなければならないわけではありません。乗り慣れて来たら、この幅の中で最適な高さを追求していくのです。                                    これまであまり運動が得意でなく現在もしていない方はAからスタートが良いでしょう。

ロードバイクは初心者だけどマラソンは4時間以内で走るくらいの体力がある方はBスタート。どんどん乗り慣れてきたらCやDに近づけるといいと思います。しかし、一度に上げて良いのは2mmまでにしましょう。膝や腰、首などへの負担が急に増して故障の原因にもなります。2mm上げて1か月乗って、まだ上げたかったら2mm上げて、こんな段階をお勧めします。

なぜはじめは低いほうが良いかというと、ロードバイクの基本はペダルを踏むのではなく「回して乗る」なのです。そのため回転数が上げやすい低めからスタートして、そのスキルが上がってきたら徐々にサドルを上げて、少しずつギアを上げて(重たく)していくことがロードバイク上達の鍵になります。今のあなたにあったサドルの高さで持続可能で快適なサイクルライフを送りましょう!


Vol.1「サイクルスポーツの魅力とは?!」

Vol.2「移動がエクササイズに代わる乗り方とは?!~ママチャリでも美脚に!~」

Vol.3「サイクリングロードへレッツゴー!!」

Vol.4「グルメライドは絶対太らない!?」




■青山 剛 (あおやま たけし)

元トライアスロン日本代表。その後コーチに転身しトライアスロン女子五輪代表を輩出。

現在はプロフェッショナルコーチとして競技者から子ども、シニアまで幅広い層にトレーニング指導を行っている。全国で講演、セミナー、教室なども開催中。著書多数。

国内唯一のビアンキブランドアンバサダーとして、正しいサイクルスポーツの普及発展にもあたっている。