しまなみ海道。
「世界で最も素晴らしい自転車ルートの一つ」として選定されています。
青い海、島々をつなぐ橋、走りやすく整備されたサイクリングロード。
サイクリストなら一度は走ってみたいと思う場所ではないでしょうか。
もちろん、実際に走ってみてもその景色は素晴らしく、瀬戸内海を眺めながら橋を渡る時間や、島ごとに立ち寄るグルメスポットは、この場所ならではの魅力でした。
ただ、今回のライドは「楽しかった!」の一言だけでは終わりません。
橋の高さに感じた恐怖。
気温37℃、ほぼ無風という厳しい暑さ。
橋へ上がるたびに繰り返される坂。
そして、尾道から今治へ折り返してから蓄積していく疲労。
それでも、今治から尾道までを往復し、走行距離約145km、獲得標高約900mを全員で走り切りました。
今回は、写真だけではなかなか伝わらない、走った人にしか分からない「怖い・暑い・つらい・でも楽しい」しまなみ海道を振り返ります。
※ブログ掲載時、人物の顔が確認できる写真については、プライバシーに配慮し、人物部分をキャラクター化した画像を使用しています。
by ビアンキストア大阪店 S山
まずは自転車を積み込み、しまなみ海道へ
今回の旅は、自転車を車へ積み込むところからスタートしました。
複数台の自転車を傷つけないよう、フレームやホイールの間に緩衝材を挟みながら慎重に積み込んでいきます。
サイクリングは走り出してからが本番ですが、その前の準備からすでに旅は始まっています。
目的地は愛媛県今治市。


途中、山陽自動車道の龍野西サービスエリア(下り)へ立ち寄り、まずは腹ごしらえです。
ここで選んだのが「Wソースかつめし」。
兵庫県加古川市のご当地グルメとして知られる、デミグラスソースをかけた「かつめし」と、みんな大好きカツカレーを一度に楽しめる欲張りな一皿です。
かなりのボリュームでしたが、翌日のロングライドに向けてエネルギー補給は万全。
しまなみ海道を走る前に、カロリーだけは先に完走しました。
午前7時、サンライズ糸山からスタート
翌朝、今回のスタート地点となるサンライズ糸山へ。
午前7時のスタートに向けて、自転車を降ろし、タイヤの空気圧、ブレーキ、変速、ライトなどを確認します。
ボトルや補給食、携帯工具もセットし、長い一日に備えます。


目の前には、しまなみ海道を代表する来島海峡大橋。
朝日に照らされた海と巨大な橋を眺めると、これから始まるライドへの期待が一気に高まります。
「SHIMANAMI」のモニュメント前で自転車を並べて記念撮影。
いよいよ、今治から尾道を目指して出発です。
いきなり最初の橋で、怖い
ここで個人的な話をひとつ。
実はS山、少し高所恐怖症の気があります。
サンライズ糸山をスタートし、最初の橋へ上がった直後。
想像していた以上の高さと、自転車道のすぐ横を走る自動車の迫力に圧倒されました。
橋の上から瀬戸内海を眺めて「絶景!」となる予定だったのですが、最初はそんな余裕はほとんどありません。
眼下には海。
横では自動車が次々と通過。
動悸はかなり激しめです。
前を見て走ることで精いっぱいでした。
しまなみ海道の紹介では、橋の上から見える絶景がよく取り上げられます。
それは間違いありません。
ただ、高い場所が苦手な方にとっては、その景色に感動する前に、まず高さへ身体を慣らす時間が必要かもしれません。
いくつかの橋を渡っているうちに、少しずつ余裕が出てきました。
そして改めて周囲を見ると、海の上を走りながら島々を眺める景色は本当に素晴らしい。
怖さが消えたわけではありません。
それでも、最初に怖さを感じたからこそ、その後に見えた景色はより強く印象に残りました。


橋の上は平坦。でも、橋までが平坦ではない


しまなみ海道は信号が少なく、自転車道も非常に分かりやすく整備されています。
路面には案内ラインもあり、初めて訪れる人でも比較的走りやすい環境です。
橋の上も基本的には平坦基調。
海を眺めながら気持ちよく走ることができます。
ただし、注意したいのが橋へ上がるまでのアプローチです。
橋は海面よりかなり高い位置にあるため、島から橋へ向かうたびにしっかりと上りがあります。
橋へ上る。
橋を渡る。
島へ下る。
そして次の橋へ向けて、また上る。
ひとつひとつの坂は極端に長いわけではありません。
しかし、これを何度も繰り返していると、後半になるほど脚へのダメージが積み重なっていきます。
今回の獲得標高は約900m。
「しまなみ海道は平坦で走りやすそう」
そんなイメージだけで走ると、想像以上に脚を使うかもしれません。
それでも、走り続けたくなる景色がある
つらさがある一方で、しまなみ海道には、それを上回る魅力があります。
青い空。
穏やかな瀬戸内海。
緑に包まれた島々。
そして、その島々を結ぶ巨大な橋。
同じ海沿いを走っていても、島が変わると町並みや景色も少しずつ変化していきます。
途中には「SHIMANAMI」のモニュメントや、「サイクリストの聖地」など、自転車と一緒に写真を撮りたくなる場所もたくさんあります。
気になる場所があれば、自転車を止める。
写真を撮る。
景色を見る。
また走り始める。
速くゴールすることだけを目的にしなくてもいい。
走ることそのものが観光になる。
これが、しまなみ海道の大きな魅力だと感じました。


気温37℃。今回は暑さとの戦いでもありました


今回のライドで最も厳しかったのは、距離以上に暑さだったかもしれません。
当日は天気に恵まれすぎるほどの快晴。
気温は37℃。
さらに、ほぼ無風。
橋の上や海沿いは開放感がありますが、その分、日差しを遮るものが少ない区間もあります。
走っていると汗が止まりません。
冷たい飲み物を飲んでも、少し走るとまた喉が渇く。
休憩しても、身体が完全に冷えるわけではありません。
真夏のロングライドでは、単純な脚力だけではなく、水分、塩分、休憩、体温管理がとても重要だと改めて感じました。
今回は全員で無事に走り切ることができましたが、真夏に同じ距離へ挑戦するのであれば、距離だけではなく気温や休憩場所まで含めて計画する必要があります。
走る理由は、グルメでもいい
しまなみ海道の楽しみは、景色だけではありません。
各島には、その土地ならではの食事や休憩スポットがあります。
最初に立ち寄ったのはしまなみドルチェ 瀬戸田本店。
柑橘系をはじめ、イチジクやスイカなど、たくさんのジェラートが並んでいます。
暑い中を走った後の冷たいジェラート。
これは文句なしにおいしい。
身体を冷やすだけでなく、疲れ始めた気持ちまでリセットしてくれます。




続いて訪れたのが後藤飲料水工業所。
昔ながらの雰囲気が残る店内には、瓶入りのラムネや変り種サイダー、お店オリジナルグッズなどが並んでいます。
今回選んだのは「怪獣レモンサイダー」。
爽やかな酸味と炭酸が、火照った身体にちょうどいい。
そして尾道に到着した後は、尾道ラーメン牛ちゃん 尾道店へ。
大きなチャーシュー、背脂の入った醤油スープ。
走った後に食べるラーメンは、普段より何倍もおいしく感じます。
自転車で走ってお腹を空かせる。
汗をかいて喉を乾かす。
そして、その土地の食事や飲み物を味わう。
グルメを楽しむために走る。
そんなサイクリングがあってもいいと思います。
尾道ラーメンだけでなく、尾道焼き、瀬戸内の海の幸、柑橘、塩を使った島グルメなど、まだまだ楽しみたいものはたくさんあります。


今回使用したBIANCHI
今回のしまなみ海道では、個性の異なる3モデルが集まりました。
2022 ZOLDER PRO

シクロクロスモデルのZOLDER PRO。
S山の愛機。
今回はボトルに加え、ハンドルまわりにもバッグを装着し、ツーリング仕様で走りました。
補給食や小物をすぐ取り出せるため、長距離ライドとの相性も良好です。
ロードバイクのように速く走るだけではなく、荷物を積んで旅を楽しむスタイルにも向いている一台です。
2024 OLTRE RACE
エアロロードらしい巡航性能が魅力のOLTRE RACE。
橋の上や海沿いの平坦区間では、速度を維持しやすく、長い距離を一定ペースで走る場面で強みを感じます。
ただし、ロングライドでは速く走れるからこそ、前半に脚を使いすぎないことも重要です。

2024 OLTRE COMP

OLTRE COMPも、平坦区間での巡航性能と軽快な反応が魅力です。
橋へ向かう上りでもロードバイクらしい軽快さがあります。
そして、やはりチェレステカラー。
瀬戸内海の青、島の緑、空の色との相性が良く、写真を撮る楽しみも増えます。
復路に入ってから、本当のロングライドが始まる
尾道へ到着した時点では、大きな達成感がありました。
しかし、今回は片道ではありません。
サンライズ糸山へ戻るため、もう一度同じ距離を走る必要があります。
折り返し直後は、まだ脚も動きます。
ところが、橋へ向かう上りを繰り返し、暑さを受け続けていると、少しずつ身体の反応が鈍くなっていきます。
往路では気持ちよく下った道が、復路では上りになる。
朝には観光気分で見ていた景色も、夕方になると、
「あと橋はいくつだったっけ」
「あと何kmだろう」
そんなことを考えながら走るようになります。
ペダルを踏んでも、朝のようには進まない。
サドルに座り続けることもつらくなる。
肩や腰にも疲労が溜まってきます。
それでも、止まってしまえばスタート地点には戻れません。
速く走るのではなく、少しずつでも前へ進む。
休憩する。
水分を取る。
また走る。
メンバー同士で声を掛け合いながら、ひとつずつ橋を越えていきました。
この復路の長さや疲労感は、写真だけではなかなか伝わりません。
でも、だからこそ最後にサンライズ糸山が見えた瞬間の安心感は格別でした。
午後7時30分頃、約145kmを走り切りました


サンライズ糸山へ戻ったのは午後7時30分頃。
走行距離は約145km。
獲得標高は約900m。
朝に撮影した「SHIMANAMI」のモニュメントの前へ、もう一度自転車を並べます。
朝は明るかった空も、すっかり夕暮れ。
来島海峡大橋にも明かりが灯り始めていました。
同じ場所なのに、朝とはまったく違って見えます。
出発前には「これから走る場所」だったサンライズ糸山が、帰ってきたときには、
「ここまで戻ってきた場所」
に変わっていました。
記念撮影を終えた後、メンバーはその場へ倒れ込みました。
写真として多少の演出はあります。
でも、疲れていたのは本当です。
脚も身体も使い切りました。
それでも、全員で無事に戻ってきた。
これも事実です。
楽しかった。でも、それだけではなかった
今回のしまなみ海道を一言でまとめるのは難しいです。
楽しかった。
怖かった。
暑かった。
つらかった。
おいしかった。
景色に感動した。
途中で、まだこんなに残っているのかと思った。
それでも走りました。
そして最後には、全員でスタート地点へ戻ってきました。
「絶景だった」「楽しかった」だけでは、今回の145kmは表現しきれません。
むしろ、楽しいだけではなかったからこそ、最後の景色が強く心に残ったのだと思います。

しまなみ海道は、145km走らなくても楽しめます
今回は1日で今治と尾道を往復しました。
ただし、すべての方に同じ走り方をおすすめするわけではありません。
体力や経験に応じて、距離は自由に設定できます。
今治から尾道まで片道だけ走る。
途中の島まで走って引き返す。
往路と復路を2日に分けて宿泊する。
各島の名所やグルメをゆっくり楽しむ。
E-BIKEを利用する。
走り方はいくらでもあります。
むしろ、今回145kmを走ったからこそ、
「次はもっとゆっくり島を回ってみたい」
と思いました。
長い距離を走ることだけが、しまなみ海道の正解ではありません。
こんな方におすすめ
しまなみ海道は、海や島、橋の景色を楽しみながら走りたい方にはもちろんおすすめです。
それ以外にも、
- 初めてのロングライドに挑戦してみたい方
- 100km以上の距離を走ってみたい方
- 速さよりも旅を楽しみたい方
- 写真を撮りながら走りたい方
- ご当地グルメを目的にしたライドが好きな方
- 仲間とツーリングを楽しみたい方
- 一人で自転車旅をしてみたい方
- ロードバイクだけでなく、クロスバイクやE-BIKEで旅を楽しみたい方
にもおすすめです。
ただし、距離・気温・体力については無理をしないこと。
特に真夏は「走れるか」ではなく、安全に帰ってこられるかを基準にルートを決めることが大切です。
走った人にしか分からないものがある
しまなみ海道には、写真で見ても美しい景色があります。
しかし、自転車で実際に走ると、その景色の意味が少し変わります。
橋へ上がる坂の苦しさ。
海の上で感じる高さ。
真夏の熱気。
汗だくになった後の冷たいジェラート。
喉が乾いた後のサイダー。
尾道で折り返したときの、
「まだ半分か」
という感覚。
そして、夕暮れの中で見えたゴール。
どれかひとつだけでは、今回のライドは語れません。
怖い、暑い、つらい。
それでも走ってよかったと思える。
自分の脚で島と島をつなぎ、最後にスタート地点へ戻ってくる。
その経験は、走った本人にしか分からないものがあります。
それが、今回のしまなみ海道ライドで一番強く感じた価値でした。

※ブログ掲載時、人物の顔が確認できる写真については、プライバシーに配慮し、人物部分をキャラクター化した画像を使用しています。
