人気のサイクルスポーツ。サイクルロードレースなどをはじめとする競技スポーツから、ゆっくり景色や食べものを楽しむサイクリングまで様々あります。そんなサイクルスポーツの魅力を、プロフェッショナルコーチの青山剛氏の視点で毎月発信していきます。
Vol.18 「スピードメーターはコレを見よ!」
ビアンキアンバサダーの青山剛です。昨年から始まったこのコラムでは、サイクルスポーツの魅力や運動効果、そしてその正しい方法などをプロフェッショナルコーチの視点で紹介しています。前回は乗車前に行うとペダリングがスムーズになる自転車用体幹スイッチエクササイズを紹介しました。今回は乗車中にフォーム以外では何を気にして欲しいかを考えていきます。
■最近のスピードメーターは?!

皆さんの自転車にはスピードメーターが付いていますか?ロードバイクに乗られる方はおそらく付けていると思いますが、最近のメーターは色々な数値が表示されます。中には車のナビ機能同様に地図も表示され、とても便利になりました。
メーターに表示される数値として、
・スピード(時速)
・走行距離
・アベレージスピード
・マックススピード
・乗車時間
・出力値(ワット)
・心拍数
・回転数
・傾斜角度
・時刻
・気温
・地図
などなど、昔に比べてとても多くの情報をメーターから瞬時に知ることが出来ます。この中から自分の必要な情報が見られるようにチョイスして表示させるのが、最近のメーターの特徴です。
■競技選手はコレを見ている!

ではこの中でどんな数値を気にして乗るべきなのでしょうか?まず競技成績最優先の選手と、皆さんのように健康や体力増進、またはファンライド目的の人とでは優先して見るべき数値が違ってきます。
競技選手がレースやトレーニングで見ている数値は、
第1位 出力値(ワット)
第2位 心拍数
第3位 回転数
こんな感じだと思います。
最近は第1位の出力値が出るパワーメーターが普及し、ほぼ100%の選手がこの値を使ってトレーニングやレースでのペース管理をしています。この順位を見て自転車初心者の方が気になると思うのは「スピード(時速)は見ないの?」ではないでしょうか?
■スピードは見るけど・・・

自転車に乗る上でスピード(時速)は当然気になる数値です。競技選手ももちろんスピードはメーターで表示はさせています。しかし、自転車は風、坂、路面、集団人数などによって同じスピードでも「カラダにかかる負荷負担」が大きく変わります。ランニングの場合は自転車ほどそれらの影響は大きくないので「今はキロ何分ペース」を重視して走っていると思います。「追い風の時速25kmと向かい風の時速25kmが全然違う」のは、自転車に乗ったことがある方なら分かると思います。従って競技選手はスピードより出力値や心拍数を重視しているのです。スピードはあくまでも結果という捉え方ですね。
■健康体力増進&ファンライドならコレを見よう!

では、こちらをご覧の皆さんのように競技と言うよりは健康体力増進や移動を楽しむファンライドが目的の方は、どんな数値を気にして欲しいかというと、
第1位 回転数
第2位 心拍数
第3位 走行距離
コーチの立場としては、このあたりを気にして欲しく思います。やはりスピードはランク外です(笑)。もちろんスピードは安全上でも把握する必要がありますが、特に上位ふたつの回転数と心拍数をチラチラとチェックしながら乗って欲しく思います。健康体力増進、そしてラクに遠くにファンライドする上でも、回転数と心拍数が大きな鍵を握っています。
というわけで、次回はこの回転数と心拍数について詳しく書いていきたいと思います。
これまでのコラム情報はこちら

■青山 剛 (あおやま たけし)
元トライアスロン日本代表。その後コーチに転身しトライアスロン女子五輪代表を輩出。現在はプロフェッショナルコーチとして競技者から子ども、シニアまで幅広い層にトレーニング指導を行っている。全国で講演、セミナー、教室なども開催中。著書多数。国内唯一のビアンキブランドアンバサダーとして、正しいサイクルスポーツの普及発展にもあたっている。